2010 1026
私は、大学でデザイン科に入り、デザインを学んだ。
そのため、伝統的デザインの桐タンスもデザインを変えれば、じゅうぶん現代に通用するのではないか?と考えた。
この業界に入ってからすぐに考えた。もっと若い人にも受けるデザインであれば、桐タンスは、もっと購買に結びつくはずだとの確信を持っていた。
しかし、そもそも、伝統的デザインの桐タンスは、デザインしていないのか? そうではないという事が後になってからわかる。
長い間、デザインが変わらぬ事が証明しているように変わらぬデザイン、長く使えるデザインであることに間違いはない。時間をかけて、永く熟成されているデザインとも言えるわけだ。
今が、2010年であるが、昭和でいうと昭和30年(1955年)くらいまでは、桐タンスのデザインは、余り変わらなかったようだ。
しかし、その後、伝統的デザインの桐タンスも徐々に変化していくことになる。昭和30年と平成22年の伝統的デザインは、まったく別物である。
本来であれば、写真または図解して、解説するところだが、文章のみで判りづらいかもしれないが、読者のみなさんには、イメージで理解していただくことにする。
昔の桐タンスは、まず、天板が角であった。桐タンス業界的には、天角デザインと言えば良いと思う。
それを誰かが、天丸デザインを考えて、商品化した。要するにタンス本体の天板を丸くしたのである。
その後、本体の下側も丸くする発想が生まれ、「四方丸」というデザインが商品化される。
それと前後して、本体の側板が丸い「胴丸」というデザインが生まれる。
その後、天丸、四方丸の本体の側板(胴)を厚くした、胴厚というデザインが登場するのである。
伝統的といわれるデザインにも変遷があり、天角、天丸、四方丸、胴厚、胴丸、などと何種類にも分かれる。
いつ、誰が、これらのデザインを生み出したのか、私は不勉強で判らないが、一連のデザインを合体させたデザインを私は、10数年前から考え、商品化した。
上記の天丸、四方丸、胴厚、胴丸は、桐タンス業界としては、共通語であるが、そこからさらに、「四方胴丸」、「天胴丸」、「洋丸」、「四方角」という本体のフレームデザインを変えた商品を考え、商品化していった。
10数年前に考えた、四方胴丸という伝統的デザインの桐タンスは、今も100万円以上の値段でお店で販売されている。正に驚きである。お店の販売員の方もすごいが、そこに価値を見出してくれるお客様にも感謝と御礼の気持ちでいっぱいになる。
その後、約10年前からこれからは、これでは駄目だと考えて、モダン桐家具の発想を前面に出していった。
モダン桐家具「ネオパウ」シリーズの開発である。最初は、「ネオパウロ」というネーミングだった。
ネオパウは、1号、2号、3号くらいまでは、私が考えてデザインした。4号から当時、武蔵野美術大学の先生、北川八十治氏からデザインしていただく。
その後、ネオパウシリーズは、11号と12号まで続き、その一対が今も定番商品として、展示販売されている。
それからも鴨野シリーズ、栄蔵シリーズ、ラ・キリシリーズなどとそれぞれにデザイナーと出会いがあり、商品化していく事になる。
一つの商品の陰には、10個くらいの試作品がある。売れて定番商品になるまでには、何度も改良していく。本当に地道な作業である。
私は、最近、ようやくモノづくりの大切さが理解出来てきたような気がする。
メーカーの優位性を理解して、100年使えるデザインのモダン桐家具をこれからも商品化していきたい。
今日もパリ行きの桐家具の修理のため、現場の職人と打合せをした。来年の1月には、渡仏するが、世界中のバイヤーに桐タンス、桐家具のすばらしさと新しいデザインの桐タンスを受け入れていただける事を切に祈っている。
イメージは、現象化するのである。
2012-08-22 19:10:00
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