20091011
弊社の商品にキリーちゃんがある。桐でできた玩具なのでキリーちゃんと名づけた。平成10年に試作品を製作し、翌年の平成11年に商品化した。平成11年(1999年)には、Gマークも受賞した。
商品開発のきっかけは、桐箪笥製作時に発生する端材をなんとか有効利用したいという私の想いがあった。また、当時デザイン開発してくれた、産みの親である北川八十治氏抜きには語れない。
北川氏は、木工作家でありデザイナーでもある。北川氏は、デザイナーの中でも特別で、ご自身で家具や小物を製作できるので、家具の構造を熟知していて、他の桐家具を開発する際にはずいぶんとお世話になった。
家具の中でも桐箪笥は、構造が特別な部分があり、北川氏は、桐タンスにはない、新しい構造を弊社に提案してくれた。
さて、キリーちゃん開発の肝心な部分は、接着剤にある。ご存知の通り、桐箪笥というのは、無垢材でも通常の柾材で、仕上がりが約4mm弱、底板に使う三分板で約7.5mm、引出しのホテ板で21mm程度、引出しの先板で16mm程度、本体の側板で30mm程度なので、積木を製作するには、十分の厚さとは言えない。
そこで薄い材料を合わせる(接着する)発想が出てきた。もともと端材で製作する事は、手間がかかる。 これを始める前に同業者に相談したら、ほとんどの方から無理だと言われた。業界の実情を知っているからコストが合わず、無理というのは、常識的な考え方である。
しかし、異業種の会社の社長に相談したら、ぜひやりなさいという意見が実に多かった。それでキリーちゃんが始まった。
もともと桐たんすは、軽くて柔らかい素材なので、昔は続飯(そくい)を接着剤として使用していた。戦前から戦後20年代には、木工ボンドがまだ無く、桐箪笥の接着は、デンプンが凝固する性質を利用した、お米のノリが使用されていた。
その後、30年代に入り、いわゆる洋家具が出てきた頃から木工ボンドが市場に出てきて、箪笥屋も段々と生産効率の良い、木工ボンドを使用するようになった。
だから、桐素材を接着するのに続飯(そくい)を使用するのは、温故知新であり、古人の知恵と言える。
弊社の積木のサイズは、基尺が45mmのモノと35mmのモノの2種類ある。タンスの端材を使用するのに、45mmの無垢材は、ほとんどないので、子供がなめても安全で丈夫な続飯を使用するのは、実は理にかなった話なのである。
ちなみに基尺が30mm、20mmの積木も市場には、出回っているが、キリーちゃん開発の当初からそのスケールでは、小さいという事で45と35の基尺になったわけである。
10年経って、まだ、売れ続けている。桐は、軽くて柔らかいのが、玩具として受けている大きな理由だと思う。
これは、メーカーとして大事に育てていく商品だと最近強く思う。初心に帰り、キリーちゃんの提案する、親と子の遊ぶ場作りを考え直したい。
節目の時期なので、キリーちゃんを使用した、イベントも考えている。新商品も考えている。タンスメーカーではあるが、桐玩具のメーカーでもある。継続していきたい商品である。
2012-02-01 18:13:00
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